赤い首輪  〜ある愛のかたち〜  



「あの・・・隊長、これは?」


夜の帝都銀座、大帝国劇場。
見回りと、戸締まり、火の元の確認が終わった大神一郎は、自分の思い人マリア・タチバナを己の部屋に連れ込み、ある品物を手にしていた。

前々から似合うんじゃないかと思っていた、「赤い首輪」。
帝劇で飼っている犬の為の買い物のついでにペット用品店で買い求めたものである。

大型犬用の赤い首輪。

(マリアの白い肌に赤い首輪・・・えへ、えへ、えへへへ)

危ない妄想ににやけそうになる顔の筋肉を気合いで引き締め、いかにも犬の為にといった雰囲気で会計をすませ、急いで帰って自分の部屋の机にしまった。


「何って、マリアの為に買ってきたんだよ。気に入ったかい?」
「・・・隊長」
「さ、マリア」
「た、隊長! ふざけないでください!!」
「ふざけてないさ。マリアに似合うものを選んできたんだ」


マリアは絶句した。







まあ・・・大神に変わったところがあるのは気がついていた。

『そういうこと』をする時、絶対電気を消さない。
何度「電気を消してください」といっても「俺の可愛いマリアが見られなくなる」といって恥ずかしいところをじっくりと見つめる。

何度か回数をこなし、何とかマリアもなれてくるとマリア「だけ」服を脱がし、『悪戯』をする。

それがエスカレートすると「一人の時はどうやって自分を慰めているの?」とか何とかいいながら自分で『慰め』させる。

(・・・・・・まるでストリップ小屋の踊り子になったみたい)

それでも「お客様は隊長だけだし・・・」となにげに自分が『楽しんでいる』事に気がつき一人で顔を真っ赤にした。






「愛しているよ、マリア」


耳元でささやき、慣れた手つきで大神がマリアの服を脱がす。
マリアにとってこの行為は帝國華撃團花組の副隊長ではなく、帝国歌劇団花組の舞台女優でもなく、一人の男の『もの』となり、全てのしがらみから解き放たれる感じがしていた。

恥ずかしさにかわりはない。
でも、この感覚を自覚した時、大神に求められればどんなことでも出来るような気がしていた。


全てを脱ぎ去り、生まれたままの姿となったマリアの細い首に、大神は首輪をかけた。


「俺はマリアを失いたくない」
「隊長」
「マリアには隠し事をしたくない。無理強いもしたくない。イヤだったらいってくれ」
「隊長のなさりたいことだったら・・・受け入れられると思います」
「マリア・・・愛している」


んっっ

口づけを交わし、抱き合う。
大神の手はそのままマリアの豊かな胸にむかい、揉みしだく。

あ、あぅん、ふ

マリアの口から声が漏れる。
片手でマリアの胸の突起を弄びながら片手を背中に回し、背中を辿っておしりに辿り着く。

大神はこの、おしりを触った時の感覚が好きだった。
なでる。揉む。おしりに指を差し込む。

抱いていると、声は出さないまでもマリアの体が反応する。
おしり自体の感覚もさることながら、自分のすることに対するマリアの『からだ』の反応を楽しんだ。


「たい、ちょう。もう・・・」


マリアの声に熱がこもる。
もうそろそろ余裕が無くなってきているようだ。
大神にしがみついているからまだ立っていられるが、足下があやしい。

おしりをなで回した大神の手が腰にまわりマリアを支え、同時に胸を揉んでいた手が
割れ目に向かい、濡れ具合を確認する。


「マリアも濡れやすくなったね。ぐちゅぐちゅじゃないか」
「い、いわないで」


よりいっそう大神に抱きつく手に力を入れるマリア。


「駄目だよ、今日はまだベットには上がらない」
「・・・?」
「さ、床に手をついてごらん」
「・・・・・あ、あのそれって・・・」
「今日のマリアはワンちゃんだよ」


うそ、と思う同時に何処かで分かっていたような気がしていた。
でも・・・


「マリア、マリアの全てを俺のものにしたい。マリアを・・・支配したいんだ」



「・・・・・・・・・はい、隊長」


覚悟を決めた。
いや、もう自分は大神のものだ。それを再確認した。

おずおずと床に四つんばいになった。


「違うよ、それじゃただの四つんばいだ」
「え?」
「膝をついちゃいけない。普通に立った状態から手を床につける。ワンちゃんみたいにね」
「はい・・・」


言われた通りのポーズを取る。


真っ赤
思った以上に恥ずかしい。
普通の四つんばい(膝を床につける)は頭とおしりの高さが一緒だから「まだ」そうでもない。

が、大神の言ったポーズはおしりを突き出すような形となり、後ろに回られると恥ずかしい部分が丸見えとなる。


もちろん、大神はおしりの方に回り込み、じっくり観察する。


「マリア、おしりの穴が丸見えだよ。あそこもぬるぬるだ」
「い、言わないで・・・」


ピュッッ
マリアの口とは反対に、割れ目からはねっとりとした液が噴き出し、テラテラと光った。


(今度、尻尾が付いたアナルバイブも買ってくるか・・・)

大神の顔がにやつく。
マリアが見れば何かあやしいことを考えていると気が付いただろうが、さすがにこの時そんな余裕はなかった。


「じゃ、お散歩しようか」
「え!! あ、あの!」
「ふふふ、部屋の中でだよ(今日はね)」
「・・・」


顔を真っ赤にしたマリアの首輪に、机から取り出したリードを取り付けた。


「俺の横に寄り添って歩くんだ。俺の動きに集中してあわせるんだ」
「は、はい」


部屋の中だから狭い範囲でしかない。
マリアを犬のように歩かせるだけなら大神が歩く必要はない。逆に邪魔でしかない。
が、大神は部屋を歩き回り、マリアを犬の散歩のように引き回した。

全くマリアを省みない。
自分のペースで歩き、引きずり回す。
しかも同じ所をぐるぐる回るのではなく、回る方向を変えたり(予告なしに右回転を左回転に変えたり)、わざとマリアのいる方向に回り、マリアにぶつかるようにしたりとランダムに動いた。

最初はとまどっていたマリアも大神の動きを見、従うことによってある意味の無心となり自分の置かれた状況、「犬」という立場にとけ込む。

必死に歩くマリアの様子に、大神のテンションも暴発寸前まで高まっている。


「よーし、いい子だ。じゃ『おすわり』」
「・・・・・・わん」


鳴き声はやらせたわけではない。
マリアも思わずやってしまったという感じだ。

でも・・・犬のお座りの格好で全身を真っ赤にして・・・汗ばんだ肌に潤んだ瞳。
装飾は赤い首輪のみ。

もう、我慢できなかった。


「マリア!!」
「あんっっ!」


強引に抱き上げ、腰払いのような勢いでマリアをベットに押し倒す。
唇を奪い、自分のベルトをはずしカチカチになった自分自身を一気にマリアに押し込んだ。

が・・・


びゅるるっっ

腰を押し込んだ瞬間・・・爆発した。


「くっ・・・」
「あぁぁぁ・・・」


自分が思っていた以上に大神は高ぶっていた。
初めての時でももう少しもった。・・・みこすり半どころか突っ込んだだけで・・・

しかもたったこの一回で、全ての精を吸い取られたような感覚。
愛するマリアに、もっとも好みのシュチエーション。自分が考えていた以上の快感に「ふでおろし」以上の衝撃だった。


・・・マリアもまたすでに限界まで敏感になっていたのか、膣(なか)に放たれた瞬間、『絶頂』を迎えた。

十分な気持ちの高ぶり、いく快感、パートナーとの固い絆、そして精を受け止める満足感などが完全に一致した完璧な『絶頂』。マリアは簡単に意識を手放した。







「ん、」
「あ、起きたかい?」
「隊長」


目を覚ました時、マリアは大神の腕の中に居た。
首輪もはずされ、体も清められていた。


「私・・・」
「気を失ったみたいだね」


自分の痴態を思い出し、頬を赤らめる。
理性で考えるととんでもない出来事。
が、『主人』を得て何となく『安心』してしまう自分があることにも気が付いていた。


「可愛かったよ」ニヤリ
「・・・ワン」
「!?・・・マリア」


いじわるな笑みを浮かべながら恥ずかしがらせようとした大神だったが、思わぬ反応にとまどった。


「く〜ん」


本物の犬のように鳴きながら大神の顔を、口を舐めるマリア。
一瞬とまどったが、すぐに調子を取り戻す。


「気に入ったみたいだね。たまにはこんなのもいいだろう?」
「・・・はい」
「よし。また可愛がってあげるよマリア」


暫くベットのなかでお互いを味わっていた。
・・・マリアの腰が立たないことに気が付くのは、もう少し時間がたってからのことだった。







この後、わんわんプレイがエスカレートしていった・・・ということはなかった。
部屋の中でのプレイが慣れてきたので、ワンランクアップしようとした時・・・


「うっっ」


ダダダ・・・
マリアがお手洗いに駆け込む。

そう、


「・・・おめでとう御座います。3ヶ月です」


あの、『腰払いからの一撃』が『ビンゴ』・・・で、『赤い首輪』をマリアにかけた時『結婚』という首輪を大神がかけられた、ということになった。


「愛してるよマリア」
「ワ、・・・私もです・・・あなた」


・・・ラブラブなら関係ないですね。

〜了〜









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